木曜日, 5月 18, 2006

Thinking Time ★暴行罪と傷害罪★

はい、第1回Thinking Timeです!!
今後シリーズ化していく予定♪笑
記念すべき初回のテーマは『暴行と傷害』。

皆さん、暴行罪(刑法208条)と傷害罪(刑法204条)の区別はつきますか??
まず、傷害罪は有形的あるいは無形的傷害行為を行い、
相手方を傷つける罪を指します。
(有形的→物理的、無形的→心理的)
無形的な傷害行為ってのが分かりにくいかな?
昨年話題を呼んだ『騒音おばさん』。
あの人がやったような行為ですね。
騒音で相手方をノイローゼにするようなケースです。
尚、通説・判例は傷害を「生理機能に障害を来す場合」に限定しています。

ここで、暴行罪の簡単な説明をする前に一つ、指摘しておきます。
刑法204条の傷害罪には未遂規定がありません。
そう、傷害未遂罪はないんです。
では、傷害の未遂は処罰されないのでしょうか?

そんなはずありません!
傷害の中でも、不法な有形力の行使は未遂の場合、
暴行罪として処罰されます。
なぜなら、刑法208条には
「人を傷害するに至らなかったとき」という文言があるからですね。
但し、無形力であれば未遂は処罰されません。

とりあえず、基本はこんなところです。
あ、もちろん、実際はもっと複雑ですよ。
でも、授業の内容を全てブログに反映させるなんてめんどいから。。。
一応、これだけ押さえてたら次のことは考えられるんで。

さて、ここで質問。
人に病気を感染させようとして病原菌をまいたら……?
感染してしまえば当然、傷害罪です。
でも、もし未遂で終わったらどうなると思う??
ちなみに暴行罪は
「不法な有形力の行使が傷害に至らなかった」場合の罪です。













私としては、「病原菌をまく」という行為は
「不法な有形力の行使」と考えます。
だから、未遂の場合、暴行罪で処罰されるべきだと思う。
でもね………、















判例では、感染させようとすること自体は暴行罪とならない、
とされています。
「感染させようとする」ことは「有形力」でない、
というのが裁判所の見解です。













なんか納得できません!!



皆さん、どう思いますか??


注:これはあくまでも様々な学説がある中で、最も支持されている学説のみを
  紹介しているので、あまりに専門的な意見は求めておりません。
  また、私自身の学習不足や言葉足らずな表現により、
  誤解を招くことも意図しておりません。
  ですので、純粋に最初に紹介した前提で上記判例に対し、
  皆さんなりにどう思うか考えてみてください。